去年の冬。トレイルランするために鎌倉までやってきた。
その時に履いていたのはお気に入りのパタゴニアの破れたランニングショーツ。
実は、その前の週に高尾山にナイトランしに行った時に、谷側に突っ込んでしまいランニングショーツが破れた。
ショックだった。本当にお気に入りで、思い入れもある。まだ使いたい、でも使えない。同じものを買おうとしたがもうない。同じようなものを探したってピンとこない。
やっぱりこれがいいと、修理に出すことを決めた。しばらくは破れたまま使うことにした。
破れたままで鎌倉に走りに来たんだけど、帰り道にパタゴニアを見つけ、修理料金だけでも聞いて行こうと、ドアを開いた。
このランニングショーツは、すごく思い入れもあるのでこのパンツがどうなるのか色々聞いた。
同じ生地でやってくれるのか。
縫い目はどれだけ目立つのか。
修理料金はどれくらいかかるのか。
など。
いろいろ聞いて見た。
僕を接客してくれた店員さんは、ものすごく笑顔で感じがよく、吃音だった。
パタゴニアでは、工場に集まった使わなくなって回収したリサイクル品の中から使える生地を選んで補修をすること、今は僕のランニングショーツはもう生産しておらず同じ生地がもうあるかわからないということ。それでも、できるだけ同じような生地で目立たないようにしてくれること。
10センチ角の生地で埋め合わせできそうなくらいの穴であったので、1000円ぐらいで修理代金が収まりそうなこと。
ほんとうに丁寧に説明してくれる。
僕と彼が話していると、周りのお客さんもチラチラ振り向くくらいにどもっている。
でも彼はそんな視線も気にすることもなく、一生懸命僕の分からない事、知りたいことを答えてくれた。
そもそもそのランニングショーツを履いていたし、修理代がどれくらいなのか知りたかっただけで入店したので、丁寧にお礼を言ってその時は一度持ち帰ることにした。
そうすると、その店員さんはその場ではすぐに対応できないこと、今何もできないことを、ほんとうに申し訳なさそうに「せっかくお持ちいただいたのに何もできず申し訳ありません」と何度も何度も気持ちを伝え頭を下げてくれた。
僕の方が、ほんとうに恐縮してしまうくらいに。
最後、店を立ち去る前、ちょっとおまちくださいと、僕を呼び止めた。
何をするんだろうと思って待っていると、パタゴニアの非売品のステッカーを二枚、「こんな物しかないんですが」とくれた。
僕も吃音だ。
同じように吃音の人がこうやって頑張っている姿に触れるのは、ほんとうに嬉しくなる。
どもっても、めげずに頑張って伝えるべきことを伝えようとする。
どもるとか、どもらないではない。僕はこういう人から物を買いたいと思う。
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