WEB STORE『旅写真と僕を支えてくれた言葉たち』
これは、僕の生きてきた証。
自信をなくして勇気が出なくなったとき『自信って自分を信じること』何回も自分に言い聞かせた。
あれは自分に向けた言葉。旅によって自分の生きる場所を小さいながらに見いだしてきた。
いろんなことがあった。楽しいことだって、受け入れがたいことも。
でも旅は僕を救ってくれた。僕の写真と言葉で大切に、勇気づけられると言ってくれる人がいるなら、
僕はあなたにこころを込めた贈り物をしたいと思います。
WEB STORE『旅写真と僕を支えてくれた言葉たち』(https://tabi-photo.stores.jp/#!/)にて、旅で見つけた宝物のメッセージポストカード、販売中。

2014年11月9日日曜日

毎日が現実。〜旅の終わりは夢の終わりではない。ベトナム、ハノイ





旅は、本当にいろんな人と出会うし別れもある。
でも旅する方向が一緒なら、一度出会っていても、何度でも出会っては別れ、の繰り返しということもよくある。

特にベトナムでは、そうだった気がする。
南下するか、北上するか、だからかな。


ベトナム、ハノイ。


僕が泊まっていた宿の前で何となく考え事をそこにいると、目の前に止まったタクシーから白人のカップルと一人の日本人が現れた。
フエで出会った一人で、ハノイでまた会おうね、とは言いながら別れたのだが、なんの確約もなかった。

『あ、ひろし!!!』

この偶然のタイミングに、お互いに驚きつつも再会を喜んだ

そんなこんなで僕らは一緒にハロン湾のツアーに参加した。
ハロン湾までのバンで本当にいろんなことを話した。

その人とはいろんなことを話した。旅のこと、仕事のこと、どうやって生きて行くのかということ。
その人は、本当に、悩み、真剣に考えた末、旅に出て考える時間を作った。
でもその答えを出来ることなら先延ばしにしたいとも思っていた。
旅に出ても結論を出せずに、旅が終わろうとしていた。

ハロン湾から帰った夜。そんな友人の、一ヶ月の東南アジア旅行の最後の夜だったのだ。

一緒にフォーのお店に行った。少しお酒も飲んだと思う。



『あぁ、これで明日から現実に戻っちゃうんだ〜』

友人がすこしさみしそうにそう言った。
僕は、友人がその言葉を言い終わらないうちに、自分でもびっくりするぐらい少し強めの口調でこう言った。

『今日だって現実じゃん』

旅に逃げてきてるのかもしれない。そんな想いが自分自身に対してもあった。
いろんなことがある。悩みだってある。乗り越えられず苦しんでいるものだってきっとある。
旅に出たって、きれいさっぱり悩んでいることが消えてしまうわけではない。

旅に出てもいろんなことがあり、悩むことだってある。
旅であろうが、いつもの変わりなく見えるような毎日でも、
見える世界が変わるだけで考えなければならないことは同じ。

その言葉は、間違えなく自分に向けられたものだった。



次の日、僕はその友人を空港に見送った。

日本に帰って行く友人を見送りながら、
笑顔で手を振るあの顔が、なんだか突き刺さった。


きっと、毎日が現実なんだ。
逃げるところなんて、どこにもないんだ。




旅歩家 HIROSHI KIKUCHI


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