WEB STORE『旅写真と僕を支えてくれた言葉たち』
これは、僕の生きてきた証。
自信をなくして勇気が出なくなったとき『自信って自分を信じること』何回も自分に言い聞かせた。
あれは自分に向けた言葉。旅によって自分の生きる場所を小さいながらに見いだしてきた。
いろんなことがあった。楽しいことだって、受け入れがたいことも。
でも旅は僕を救ってくれた。僕の写真と言葉で大切に、勇気づけられると言ってくれる人がいるなら、
僕はあなたにこころを込めた贈り物をしたいと思います。
WEB STORE『旅写真と僕を支えてくれた言葉たち』(https://tabi-photo.stores.jp/#!/)にて、旅で見つけた宝物のメッセージポストカード、販売中。

2016年1月31日日曜日

子供達からのあぶなっかしいギフト。



その小さな手だと、一眼レフが大きすぎてしっかりと持つのにはだいぶ危なっかしい。そして、その力ではシャッターを最後まで押し切ることも、すこし難しい。でも、すこし手伝ってあげると、シャッターが切れる。写真撮ってみる?って、首からカメラをさげてあげた。そしたら戸惑いつつも大喜びで写真を撮っている。いつの間にか設定をモノクロに変えて、でもそんなことには気づかずに夢中。本当は、自分でカメラを渡したもののその小さな手からカメラが落ちてしまいそうで、ドキドキしていたんだ。僕の、写真を撮ってくれてありがとう。









2016年1月30日土曜日

自分の中の神様。〜サン・ピエトロ寺院 イタリア、ミラノ

イタリア、ミラノ。

あてもなく、歩いた。朝早く出ていたが、もうお昼近くになっていた。


細い路地のような道を抜け、パッと大通りに出ると、そこに教会があった。イタリア語で名前を表記していたので、その、ローマ字をゆっくり読んでみた。

サン・ピエトロとだけはわかった。あ、あの、有名な、サン・ピエトロ寺院だった。もうだいぶ前になるのだけど、旅行業の資格を取るために、猛勉強していて、ホテルで働きながら学校にも行ってた。(実際とったけど全く生かしていない・・・)その時通っていたスクール、『地理』の先生(現役海外添乗員の、若くてめっちゃ綺麗な先生!)が、サン・ピエトロ寺院はめちゃくちゃいい!ってすごいおしていて、授業でよく言っていたのをいまだに覚えている。でも、そのS先生は、とある授業の日、時間なのに先生がこないことがあった。急遽、別の先生が代講することになった。それ以降地理は、別の先生になり、以後姿は見なくなった。学校側は、一身上の都合で、といっていた。先生の身に何かあったのかもしれない。けど、それ以上はわからなかった。そんなこともあって余計に覚えている。

あてもなく歩いていた先にあったサン・ピエトロ寺院。たしかに来たいとは思っていたけど、こんなに偶然に出会ったことに、少しの驚きと運命を感じつつ、僕は中に入った。そこには賛美歌が静かに流れ、心落ち着く空間だった。僕は椅子に座り、力を抜いた。何人かの人がゆっくりと入れ替わりに、祈っていた。その厳かな情景の中にいると、湧き上がってくるものが目元から出そうになる。僕は、きっと、こういう場所が好きなんだと思う。場所は変わってアジアだとしても、お寺とかそういった場所が好きで、そのものというか、その雰囲気のことだけど、当たり前に人々がやってきて静かに祈りを捧げていく。

 僕は、旅に出て、君の宗教はなんだい?なんておきまりの質問をされると、未だに何て答えていいのか考えてしまうし、何か特定の宗教を信じているわけでもない。
 でも、こういう場に来て、人が祈りを捧げているのを見ると、無性に落ち着くし心安らぐ。信じる。そうなりたい、そう願って信じることで、きっと自分の道が開けていくのかもしれない。そんなことを気づかせてくれる場なのかもしれない。ある意味、僕は自分の中に祈るべき神様がいる、『自分』それが一つの宗教。そう思うことにしている。



今ある場所で。





いま、何ができるだろうか。
疲れていると、そんなことを考えるのも忘れてしまう。
誰にも気づかれなくても、前に進む気持ちは忘れない。
小さくても、一歩一歩すすんでいく。

2016年1月27日水曜日

2016年1月26日火曜日

ドイツ、ミュンヘン。曇り。朝の空気。



冷たい空気を肌に感じる。この匂いを感じる。歩くことで、地面を感じ、時々立ち止まったりもする。旅の朝は、いろんな感覚が呼び覚まされる。9月のミュンヘン。


洗濯物とニワトリと。〜セブ島・セブシティでの風景


2016年1月25日月曜日

朝日に包まれて朝ごはん。〜あまい赤飯風ご飯とインスタントコーヒー






朝ごはん。特に何を食べるとか決めていなかったんだけど、朝日の方向に歩いてみた。

大型モールのすぐ横、路地というべきか、商店街というべきかわからないのだけど、なんとなく引き込まれた。子供達は裸で水を浴び、ご飯を食べ、学生は家から出て行く。大通りに出たところでは学生やらがジプニー待ちをしている。

そんな光景の一つ、笹に包まれたご飯に目が止まった。中に入っているのは、少し赤みを帯びたご飯。笹の葉に包まれたものは、持ち帰るためのものでそこでお皿にもってくれて食べることもできる。おばあさんが、お皿にご飯と、あんこのようなものが添えられ食べている。コーヒーとともに。お店の人と世間話をしている。朝日に照らされ、その光景が余計あたたかくみえる。そんな路上店が、道端にテーブルを出し、僕の歩いた道にはいくつかあった。

僕は、そこにいる人と同じように、ご飯を頼み、おばあさんの横に座り、コーヒーをもらった。



美味しい。ご飯だけだけど、本当に美味しい。僕が食べている間、何人かの人が、笹に包まれたご飯を買って行った。この子もいくつかまとめて買って行った。一つ約15円。きっと家で食べる朝ごはんにするのでしょう。





テーブルに座っていると、ほぼ間違えなく僕のことについて話している気配がした。僕の方に視線がなんども来て、英語ではなかったけど、でも結構な頻度でコリア、って聞こえる。だから、思い切って、ジャパニーズだ、と言ってみた。

そしたら、あ、そうだったのね、とここでは韓国人が多いのよ、と話してくれた。でも、途中で少し意味がわからなかった。なので、聞き返したら。こんな言葉が返ってきた。


アバンドン。abandon。見捨てるという意味の言葉。


強烈な響きだった。彼女のいう韓国人、というのは、ツーリストでもなくて英語を勉強しにくる学生でもない。ここに住む子供たちのことだった。セブにやってきた、韓国人が子供を作り、そして子供を見捨て、そのまま韓国に帰ってしまう、ということだった。

確かにその話を聞く前にも、この子は韓国人の子なの、でもお父さんはいない。そう言っていた女性ばかりの家族がいた。その話のあとにも、韓国人?と聞かれて、日本人だと言ったけれど、韓国人の子供がいるのよと、わざわざ連れてきた人もいた。


僕は本当に真摯で誠実な韓国人を何人か知っている。言葉の壁もあるし、おばちゃんの話を全て鵜呑みはできない。でもそういう人もいる。その程度に思っておく。

日本人って一括りには当然できないのだけど、旅の恥はかき捨て、してはいけない。日本人の代表として。

2016年1月24日日曜日

ココナッツワイン、トゥバ。



セブ島、モアルボアルで見つけたガンジーさま。男、5人で市場の片隅で午前中から、酒を飲んでいた。トゥバ。瓶に入った赤く濁ったような液体。それはなにか聞くと。ワイン。トゥバ、といった。ココナッツから作ったおワインなのだという。近くで座っていた、女性が口を挟んできた。彼が作ったのよ。きっと、娘なのだと思う。飲んでみろとガンジーさまは、手に持っていた瓶を僕によこした。

お酒は辞めようと、しばらく飲んでいなかったが、ちょっと飲んでみたかった。一口だけ口をつけた。

うまい!あまくて飲みやすい、けど、少し間をおいて、ふわふわしてきてしまった。たった一口だけなのに。強いお酒なのだと思うが、しばらくお酒を飲んでいなかった効果もあるのでしょう。もっと飲んだら倒れそうだったので、瓶を丁寧にお返ししました。
モアルボアルに来たらまたここにきなさい、私はずっとここにいるから。そう言って、さよならをしました。


一緒に飲んでいた彼。結構ヘロヘロです。手に持っているのがトゥバです。





2016年1月23日土曜日

セブの食堂で見つけた、小さな幸せと日本の焼きそば。



フィリピン、ご飯がほんっとにうまい。町中の食堂だって、どこ行っても、本当に美味しいものばかりで幸せ。かっこよく言うならば、ビュッフェ形式で料理が並んでいて、これとこれ、とか言うと、席に置いてくれ、そこで食べる。この写真の時の食事は、値段ははっきり覚えてないけどスプライト(コーラ飲みたかったけどなかった。てか、コーラないとこ多いよ??)飲んでも、これで2、300円といったとこ。ご飯に混ぜて食べる。それから、ここフィリピンにも、焼きそばもあった!他の料理とともに並んでいるけど、なんか違和感。食べてみたらふつーの焼きそば。和食、とは言わないけど、僕ら日本人が食べているものが、その辺のセブの食堂にあるのはちょっと不思議。しかも、なぜかあるところの食堂のおっちゃんはやたら焼きそば勧めてきた。うまいぞ。食うか。あの客は食ってる。食ってけ。人がもう食べたいもの注文し終わってからだというのに。フィルピンでもポピュラーな料理なのかな。

その、見つめる先に、ぼくがいる。


写真を撮っている時は気づかなかったのだけど、その瞳な奥に、僕の、自分の姿が映っている。セブシティにて。

フィリピン航空スチュワーデスさんのそこっ!?っていう優しさと美意識。そ れ から、飛行機で見た映画。



成田から、セブまでは、直行便を利用して、5時間ほどだった。

フィリピン航空は機内エンターテイメントがないらしいとわかっていたので、本はもちろん、iPhoneに入れておいた映画を見ることにしていた。用意していったのは、見ようと思っててしばらく見ていなかったトムクルーズ主演のザ.ファーム。ベストセラーとなったサスペンスの小説を映画化したものらしい。ハーバード大卒のエリートが数ある就職先から選んだ法律事務所。一見、アットホームな職場ではあるのに、そこで、恐ろしいことが裏で起こっていく…というストーリー。二時間半以上の長い作品だったのだけれど、夢中で見入ってしまった。それで、セブまでの5時間の飛行時間は半分。あとは機内食を食べたり、本を読んだりしていたら、むしろ時間が足りなかったくらい。

そうそう、機内食を出してもらって、その前に記念撮影!とiPhoneをカメラモードにして構えていた。そしたら、スチュワーデスさんの手が突然さっと入ってきた。何も言わずに少し曲がっておかれていた、Philippine Airlineと書いてあるナプキンをまっすぐに直して去っていった…ちょっとびっくりしましたが、なんだかおもしろかった。そこっ!?っていう優しさというか、美意識というか…


2016年1月21日木曜日

素直でまっすぐな存在



一番手前の真ん中っ子。この子が一番いたずらっこで面白がり屋。真ん中にいる末っ子。おねいちゃんたちが大好きでいっつもくっついてニコニコ幸せそう。そして一番奥のおねいちゃん。大人っぽくて、一緒に遊んでるけれど、元気でやんちゃな二人を温かく見守っている、という感じ。

なんで市場の中で、一緒に鬼ごっこすることになったのかは、はっきり思い出せないのだけど、いつの間にか市場を歩きながら、隠れている彼女たちを見つけると、僕は追いかけなければならなくなった。追いかけると、大はしゃぎで狭い市場を逃げ回る。それを見ている周りの大人も笑っている。素直でまっすぐな存在に触れると、元気になる。出会ってくれてありがとう。



2016年1月20日水曜日

写真屋の風景。〜セブ島・セブシティにて


優柔不断な男の何もしないバースデー




別にバースデートリップを狙ったわけではないのだけど、急遽休みが取れたのが誕生日を挟んだ連休だったために、せっかくなので32歳になる瞬間は、ちょっとだけいいホテルを取ることにした。とは言っても、モアルボアルの宿は、とって行かなかった。押さえとして、セブシティーで3泊。ドミトリー(一泊1000円ぐらい)は取っておいて後は自由にするつもりで。そんなこと言っても、自由な旅にカッコつけて前日の夜まで泊まるホテルを決められなかった。だいたいのプランはあったけど、成り行きに任せ。結局は優柔不断なのだ。前もって準備をすることが苦手だし、決めようとすると、あれこれ考えてしまって一向に決まらない。ようやくここって決めたのは、セブシティで泊まったドミトリ一、ようやく眠ろうというベッドの上だった。


結局とった宿は、モアルボアルの、それも宿やレストランが集まるパナグサマビーチではなく、ホワイトビーチ。パナマグサビーチから約8キロ。ホテル以外は何もない。シービューのテラス付きの素敵なお部屋と、レストランと、プールはあってもそれ以外は何もない。隣のホテルとも少なくとも何キロかは離れているだろうと思う。


何よりも夕日が綺麗に沈む時間にせっかくのホテルで何もしない時間を楽しみたかった。カワサンフォールも、気持ちすこし早めに帰ってきた。

ホテルは、海に沿ってテラスハウスのようになっていて、その前に通路が通っている。その小道にはゆったり座るための椅子や共有の吹きさらしのテラスにはソファアがおいてある。


その一つに、ぼーっと海に沈む夕日を眺めながら座っていた。本を読んだり、何か書いたりしようかと思っていたけど、結局は何もしなかった。夕食はフィリピンだというのに、ささやかにトマトパスタ、マンゴージュース、食後にアイスクリームを食べた。フィリピンの料理はやたらしょっぱいって何かで読んだけど、こんなところでフィリピンを感じる。そして、食べ終わると、また何もしなかった。いつの間にか僕はベッドで寝入っていて、こで僕は32歳を迎えた。静かに。特に大きな感動はない。朝起きて、32歳になって、まずやったのは、大便をして、ついうっかり入れてしまったトイレットペーパーをトイレから出すことだったし、、地味にも柔らかな嬉しさが、満ている気がした。




やっぱりせっかくいいところに泊まるのならば、せめてもう一泊ぐらいできればもっともっとゆっくりできたのかな。でも、行ってよかった。時間がないって思ったけど、思い切ったら、素晴らしい経験になった。無理しても、何しても、この旅で、本当に腹がたつこともあったけど、本当によかった。ともあれ僕は32歳になった。




朝起きたら、海が引いていてびっくりした

2016年1月19日火曜日

足のつかない滝壺で泳ぐ。〜セブ島。モアルボアルからカワサンフォールへ行 く。②



おじいちゃんが、静かにご飯を食べている。僕からの投げかけに、首を動かして答える。決して笑わないけど、優しい目。ずっと何かを見つめている。一人なのかと思ったら、家族が滝壺で泳いでいる。

カワサンフォールでいかだに乗って激しめの滝マッサージを受け、そのあとすこし泳いだ。その滝壺の深さは、わからないけど、間違えなく足はつかない。ざっとでも水深を調べようとしたけど、正確と思われる数字は出てこず。ブログによっては、現地の人に9メートルと言われたとの記事もあった。足のつかないところで泳ぐのは怖い。海でもそう。足のつくところまでしか行けない・・・滝壺にはいかだを移動させるためのロープがついていて、それを見失わないようにして、意を決した。えいっ!恐怖心とともに僕は滝壺の端から端まで数メートルを泳いだ。一度泳いでしまえば怖いものの、楽しくなって、何度か往復した。そのうち疲れてきて、でもまだまだ、岸にはたどり着かなくて、とちょっと怖さが溢れ出る瞬間もあったけど、楽しかった!

ここは、一人で来て、楽しめるかなぁなんて、思ってましたけど、充分楽しめます。一人旅でも、カワサンフォール、おすすめです。

滝壺でスイム&いかだに乗って滝マッサージ。セブ島。モアルボアルからカワサ ンフォールへ行く。①


モアルボアルの中心地から、バスもあるみたいだけど、トライシルクで50分ほどの場所にカワサンフォールという滝がある。いくつかあるのだけど、モアルボアルから一番アクセスしやすいだろうと、ここに決めた。

トライシルクやモーターバイクは、宿でお願いするなり、バスターミナル(といっても市場の前に小さな掘っ立て小屋があるだけ)付近のお兄さん、行き先を告げ、値段を聞いて、気の合いそうな人にお願いするといいかも。

カワサンフォール。どんな場所なんだろうかと、思っていたのだけど、滝壺で、海水浴をするように、学生さんや、ファミリーがワイワイしている雰囲気。海の家のシステムのように、テーブルひとついくら、で場所貸しもしている。そこでお弁当を広げたり、コンロでバーベキューみたいなことをしている家族もいた。事前に旅行会社や宿でツアーに申し込めば、トレッキングもできるよう。入場料は確か40ペソ。フィリピン人は20ペソ。一人だったので、ドライバーにも付いてきてもらって中で荷物を持って待っていてもらった。

滝壺に着くと、お兄さんが、いかだに乗らないかと声をかけてくれる。一人300ペソ。だいたい千円ぐらい。フィリピンの物価を考えるとかなり高いぞ、と思うけど、でもその値段は看板に大きく書かれているし、絶対やりたいことだった。


グッドマッサージ!と何回もいっているけど、滝に当たってマッサージってことね、はいはい、って思っていた。言われるがままいかだの上でうつ伏せ。寒さにブルブル震えながら、滝にすこしずつ打たれていく。


・・・・・・


うおっ!!めっちゃ気持ちい!!!!!


滝のものすごい水圧が体の筋肉を程よくほぐしていく。

いかだのお兄さんは、いかだを器用に動かしながら、僕に当たる滝の水圧を調節し、足を上げて、座ってみて!!手を上げて!といろいろ指示を飛ばしていく。なかなか、水圧で思い通りに動けないこともあったけど、下手なマッサージ行くより、全然いい!終わる頃には体はポッッカポッカ。


最後のさいご、最初は300ペソでいいと言っていたのに、一人でプライベートないかだだったからなんチャラかんチャラ、600ペソだ。と言い始めたのは、残念だった。けど、何も言わなかった。(あ、いや、日本語でじゃあ先に言えよとは口から出てしまったっけど・・・)まあ確かに一人で大きないかだだしなあ・・・・にっこり笑って600ペソ出したのでした。


気を利かせたドライバーさんが、マッサージ終わりの僕を撮ってくれました。






2016年1月16日土曜日

戦わない。



モアルボアルでバスを降りるとモーターバイクやらの客引きが7、8人寄ってきた。そのうち何人かが、『どこに行くの?』と声をかけてきた。でも、僕は今まで降りてすぐの客引きは避けることにしていたので、適当にあしらった。日本語でふつーに『あ、散歩、散歩。』と。それでもしつこいから、ちょっと街を見たいんだ。ジャストウォーキン!!といって離れた。でも後ろから一人が付いてきて、後ろからこんな言葉を投げられた。

サンノバビッチ!!!
(クソ野郎!!!)

なんでそんなこと言われなきゃなんないの??????でも、彼にとっては僕の、そんな態度が気に食わなかったのだろう。頭にきてしまった僕は反射的に僕は振り返って、彼に近ずいた。頭に血が上り、睨みつけたが、そこまででなんとかおさまった。同じように汚い言葉を浴びせることもなかった。彼を横目に通り過ぎた。よかった。僕は、旅に出る前に決めていた。戦わない。すこしぐらい嫌な気分になっても、ぼったくられたとしても。僕は、すこし参っていた。だから無理やりこうしてここにきているのに、戦う気力なんて振り絞りたくなかった。初日は夜に空港に着き、最終日は昼頃の飛行機だった。まるまる使えるのはまるまる二日。大切なたった数日の旅を嫌な気分で過ごしたくはない。それに、31歳最後の日。できるだけいい気分でいたい。


ツアーにすれば、こんな嫌な思いはしなくて済む。全て前もって決まっているのだから。でも、こういうこともわかって旅をしている。嫌なこと以上に素晴らしいことにも出会えると信じているから。



2016年1月15日金曜日

モアルボアルへ。チャプステイックス・ガール。

朝早く宿を出て、セブシティーサウスバスターミナルに向かった。

モアルボアルという場所に行くことにしていたのだ。ゆっくり何もしない旅にするのだ。いまの僕にはぴったりの場所だとおもって決めた。南部行きのバスにのってモアルボアルは、セブシティーからは約3時間。バスターミナルでモアルボアルといえば乗るバスを教えてくれる。エアコンなしのバスで107ペソ。約320円。バスは時刻表なんかなく、ある程度いっぱいになったら発車するみたいだ。途中で乗客をピックアップしていく。海の綺麗な、小さな町。バスはひっきりなしに出ている。モアルボアルで降りたいと周りにいっておけば間違えない。



隣座ってもいいですか?


親子だった。僕はバックを置いていた隣の席を開けた。

女の子が、歌を歌い、目につくものすべてをリズムに乗せているよう。
僕はバスの車窓が好きだ。狭い道をかなりの猛スピードで走っているので、危なくない程度に風にあたり、流れ行く景色をたたただ眺める。少しして、その彼、さっきの彼女が静かになっている。ふと隣に目をやった。 狭い座席、動きがダイレクトに伝わる。何かもさもさと動いている。よく見ると、女の子が吐いていた。それをお母さんは上手にビニールでうけとめていた。僕もバックからトイレットペーパーとビニールを出して差し出したが、大丈夫だという。

必要な部分だけ切り取ってクリアファイルに入れて持ち運んでいたガイドブック。それを車窓を見る合間に見たり見なかったり。でも、ある時、ガイドブックの一枚を見ていたその時。その一枚が飛んだ。

僕と隣の親子の三人は、同時にその紙きれの行方を見つめ、

『あ!!』

と叫んだ。

結局、その紙切れはさっと飛んだだけで、娘の手元に僕のガイドブックの一枚は落ちた。その瞬間、3人は目を見合わせて少し間を置いてから笑った。

そのことがあって、きっと、少しは距離が縮まった。女の子は僕の目を見て、チャイニーズ。といった。ややリズムに乗った調子で。違う、ジャパニースだと言ってもそんなことは彼女は構わない。

チャイニーズ。なんどもなんどもいろんなリズムに乗ってその単語を繰り返した。僕の目を見てチャイニーズ。きっとあの紙切れの言語を中国語だと思っている。僕のこともチャイニーズだと思っているのかはわからない。ジャパニーズだよ、といっても不思議な顔をして僕の顔を見た。お母さんも違うのよ、なんて娘に優しく諭した。今度はチャプステクス。箸。それを繰り返し歌った。それが終わると、あの紙切れの、写真。ガイドブックの見所の写真。目につくところから、声に出し、単語にし、歌にした。一つずつ、チャーチ。教会。フィリピンの食べ物の写真。ピッグ。豚。などなど。そこに掲載されている見所の単語が繰り返された。彼女の歌声と笑顔で、穏やかな雰囲気が醸し出される。もう会うことのないかもしれない彼女にこう名つけた。チャプスティック・ガール。

 僕は途中のモアルボアルで降りた。その親子に満面の笑みでさようならをされながら。

2016年1月13日水曜日

吹かないシャボン玉。



市場を歩いていると、洋服に埋もれんばかりの場所で、少女がシャボン玉を吹いていた。カメラを向けるとシャボン玉は吹くのをやめた。
モアルボアル・セブ島

2016年1月12日火曜日

セブ島への旅。






セブシティー。僕が、歩きながら写真を撮っていたら、なんだか気配がした。振り向いてみると、この子がいた。僕の様子を見ていた。写真撮っていいか、と、にっこりと笑ってシャッターを押す仕草をした。頷く彼女をファインダー越しに覗くと、この笑顔。

そうそう。僕はフィリピンのセブ島にやってきた。ほんと無理やりの日程。実質2日だったのだけど、やっぱりきて良かった。ちょっと最近滅入っていて、このままじゃいけないと思って無理やり旅に出た。航空券とったのも、10日前。何もしない旅にしようと思った。セブシティーバスからローカルバスに乗って、3時間。モアルボアルというところで、リゾートホテルに泊まって、一人で、そして、ゆっくりと自分の誕生日でも祝う旅にしようと。

何もせず、ゆっくりできたし、セブの街は、生活感あふれていて、いい人も多くて、人懐っこくて、ちょっと元気になった気がしました。ありがとう。




あゆむあし




このあしで、あゆむ。どこに行くんだろうか。もうすぐ、32になろうとしている。ものおもいにふけながら、31歳、さいごの夕日のうえをあゆむ。09.Jun. 2016