イタリア、ミラノ。
あてもなく、歩いた。朝早く出ていたが、もうお昼近くになっていた。
細い路地のような道を抜け、パッと大通りに出ると、そこに教会があった。イタリア語で名前を表記していたので、その、ローマ字をゆっくり読んでみた。
サン・ピエトロとだけはわかった。あ、あの、有名な、サン・ピエトロ寺院だった。もうだいぶ前になるのだけど、旅行業の資格を取るために、猛勉強していて、ホテルで働きながら学校にも行ってた。(実際とったけど全く生かしていない・・・)その時通っていたスクール、『地理』の先生(現役海外添乗員の、若くてめっちゃ綺麗な先生!)が、サン・ピエトロ寺院はめちゃくちゃいい!ってすごいおしていて、授業でよく言っていたのをいまだに覚えている。でも、そのS先生は、とある授業の日、時間なのに先生がこないことがあった。急遽、別の先生が代講することになった。それ以降地理は、別の先生になり、以後姿は見なくなった。学校側は、一身上の都合で、といっていた。先生の身に何かあったのかもしれない。けど、それ以上はわからなかった。そんなこともあって余計に覚えている。
あてもなく歩いていた先にあったサン・ピエトロ寺院。たしかに来たいとは思っていたけど、こんなに偶然に出会ったことに、少しの驚きと運命を感じつつ、僕は中に入った。そこには賛美歌が静かに流れ、心落ち着く空間だった。僕は椅子に座り、力を抜いた。何人かの人がゆっくりと入れ替わりに、祈っていた。その厳かな情景の中にいると、湧き上がってくるものが目元から出そうになる。僕は、きっと、こういう場所が好きなんだと思う。場所は変わってアジアだとしても、お寺とかそういった場所が好きで、そのものというか、その雰囲気のことだけど、当たり前に人々がやってきて静かに祈りを捧げていく。
僕は、旅に出て、君の宗教はなんだい?なんておきまりの質問をされると、未だに何て答えていいのか考えてしまうし、何か特定の宗教を信じているわけでもない。
でも、こういう場に来て、人が祈りを捧げているのを見ると、無性に落ち着くし心安らぐ。信じる。そうなりたい、そう願って信じることで、きっと自分の道が開けていくのかもしれない。そんなことを気づかせてくれる場なのかもしれない。ある意味、僕は自分の中に祈るべき神様がいる、『自分』それが一つの宗教。そう思うことにしている。
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