WEB STORE『旅写真と僕を支えてくれた言葉たち』
これは、僕の生きてきた証。
自信をなくして勇気が出なくなったとき『自信って自分を信じること』何回も自分に言い聞かせた。
あれは自分に向けた言葉。旅によって自分の生きる場所を小さいながらに見いだしてきた。
いろんなことがあった。楽しいことだって、受け入れがたいことも。
でも旅は僕を救ってくれた。僕の写真と言葉で大切に、勇気づけられると言ってくれる人がいるなら、
僕はあなたにこころを込めた贈り物をしたいと思います。
WEB STORE『旅写真と僕を支えてくれた言葉たち』(https://tabi-photo.stores.jp/#!/)にて、旅で見つけた宝物のメッセージポストカード、販売中。

2014年11月20日木曜日

彼には幸せな時間が待っている。神様、一期一会をありがとう〜ラオス、パク セ ーへの国境越えでみた彼の優しさ






 
バンコクから、ラオスに向かうバスのなか。

バスがゆっくりになったり、少し止まったりした。
おそらくもうすぐラオス国境なのだ。男がバスの先頭に立ち何かをしばらくの間、乗客にまくしたててしゃべった。

きっと国境での大事な手続きのことを話している。でも、全くわからなかった。

どうしよう。





そのバスにのったはバンコクのモーチットバスターミナル。
チケットを見せ、乗務員に僕のシートを案内してもらった。
窓際の席だったのだが、その隣、通路側に座っていたのは、大股広げてずっと電話で話している大柄な男性。顔つきも決して優しそうには見えない。

あ、なんだか嫌だな、と、思った。
すこし怖そうだなって。

僕は、すいません…ジェスチャーしながら彼を跨いだ

僕はいつも、大事な場面で言葉がわからないこういう状況に遭遇すると近くの人に聞いて、教えてもらって、何となく状況をクリアするようにしていた。

でも今回は怖そうな彼。
しかも窓側の席で、彼以外に話しかけるのは難しい・・・
彼はずいぶんと長い間電話で話していた。


どうしよう。

国境が近づいたのだろう。でも確証はない。バスが止まり、彼も電話を切って、乗務員の話を聞いていた。
僕は意を決した。

鞄から『旅の指差し会話帳』を出し、『国境』という単語を探し出すという万全な準備をし、
乗務員が話終わるタイミングで、彼の前に単語を突き出た。


国境?

語尾をあげて発音してみると、彼は何度も大きくうなずいた。

手続きのために一度バスを下りる。その彼は表情も変えず、ついてこい、そうジェスチャーした。


僕は彼の2メートルぐらい後ろで、写真をちょこちょことりながら小走りに追いかけた。

手続きは彼が黙ってお膳立てをしてくれ、僕がわからないことは国境の職員や、近くの人に聞いてくれた。
僕はパスポートを出し、必要事項を記入し、必要な支払いを済ませた。手数料も、調べていたよりも手数料が一桁少ない額だったので、これで言いの?と思って何度も聞くがそれでいいという。彼が言うなら本当だ。

怖いと思っていた彼が、とんでもなく優しいひとだとわかった。
ラオス側からバスに乗ってからは、本当にありがとう、そういって『旅の指差し会話帳』を使っていろいろ話しかけた。

彼は、水道関係の仕事をしているタイ人で、ラオス人との婚活パーティ的な場で若くて素敵な彼女に出会った。タイで仕事をして、ラオスのパクセーにいる彼女に会いに行くのだといった。そうやって何度もタイとラオスを行き来して、ラオス、パクセーで彼女との時間を重ねている。


(写真 バスの乗務員)



人は見かけじゃない。
最初彼を見たとき、苦手だなと思った。でも、話してみると、全然違った。すこし硬い表情の中にも、真面目で、誠実で、人に優しくて。そんな人柄がにじみ出ていた。僕がドンデッドというところを目指しているけど、なにも決めていないと言うと、ラオス人の彼女にどうしたらいいのか、アクセスの方法、乗合バスの料金の相場、近くの観光名所まで!をわざわざ電話して聞いてくれた。言葉はわからなかったので、僕のスケッチブックにわかる限りのことを書いてくれた。

もう少しで、パクセー。

彼は座ったまま身を乗り出して、乗務員に話しかけている。そのほんのあと、バスは止まり、彼はじゃあな、と手を上げあっさりと一足先にバスを去った。

せめて名前だけでも聞きたかった。
ご飯でも誘えばよかったかな。

いや、彼には彼女との幸せな時間が待っている。

彼との一期一会。
神様、ありがとう。






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